2010年5月19日水曜日

器、それぞれ

国立新美術館のルーシー・リー展へ。シンプル、硬質、緊張感を醸し出す薄さ、品、清楚、そして形や色や質感からイメージされるフェミニンな要素。私の好きな器にある共通点を多く持つ彼女の作品。
時代を追って展示される回顧展を見ると、そんな彼女の作品にも変遷があったことがわかり、私の好きな作品の特長が円熟期といわれる60代からの作品だとわかり、ズシリとくる。
展示で流されていた彼女の工房での打ち解けた雰囲気のインタビューもよかった。80歳ごろの彼女が制作する様や、電気釜に頭を突っ込むようにして焼成した作品を取り出す様子。強くて自由で柔らかい女性なのだと思う。超訳「ニーチェの言葉」にあるように仕事は背骨。いくつになっても打ち込める仕事がある人は幸せだ。
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松本のちきりや工藝のお祖母さんも、同じく背骨となる仕事を持つ女性だろう。先日の長野行きで訪れた際に手に入れたのは韓国の窯で焼かれた蓋付の茶碗。たっぷりとしたサイズと、素朴だけれど品のある地色、ほっこりとした挿絵。寒くなる季節の焙じ茶などにどうだろう。この茶碗を作った職人も85歳位まで制作していたそうだが、今はもう亡くなり、同じ窯でもこの地色が出せる人はいなくなってしまったとか。大事に使いたい。
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私を煎茶道に導いてくれたチョン・ゴニさんの作品展を4月に訪れた。彼の作品は素朴で力強いけれど、シンプルで品のある質感。チョンさんそのもののように思う。花輪皿を2枚連れて帰る。素朴な焼き菓子やモンブランなど、マットな質感のお菓子をのせたい。
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